まさの誕生日

「まさ」は下の子の名前である。今日は彼の28回目の誕生日だ。まあもういい大人である。誕生日といっても大して嬉しくもないだろうが、ごいさんにとっては特別の日なのだ。上の子は大学でもサークル連合の委員長をやるなど社交的で活発だが、下の子は自分の世界があればいいというタイプだ。ちょうどごいさんの性格を真っ二つに割ったような感じである。

彼は小学4年生の終わりに大きな病気を発症した。「大腿骨頭すべり症」というあまり耳にしない珍しい病気だった。ミニバスをやっていて少し痛いというので医者には見せていたが、ある日起きられないという。その日はお正月の2日だった。みんなで実家に新年の挨拶に出かけるときだったので、何とか歩かせて連れて行った。ところがそれが病気をかなり重くしてしまった。4日に横浜市民病院に連れて行くと即入院。そして最初に言われたのが「歩けなくなるかもしれない」ということだった。入院は長くなるなるだろうということで「子供医療センター」に移され、そこで2回の手術を受ける。そして寝たきりの生活が約半年。見ているのが一番つらい時だった。その後車いすになりリハビリも始まり、ようやくその年の暮れに退院となった。重症の方の右足は大腿骨を切ったので、左足より3cmほど短い。それでも歩けるまでに回復したことがごいさんにとってはすべてだった。

わずか10歳の子が経験したこの大手術と1年に及ぶ入院生活は、彼の世界観そして人生を大きく変えるものだったに違いない。

そんな病気があることなんてまったく知らなかったし、実際、整形のお医者さんもそうなることまでは考えていなかったようだ。いつかまた痛み出し再手術があるのだろうかと考えながら、毎年ごいさんは彼の誕生日を迎えている。そして今年の誕生日も無事に迎えられたことをただただ感謝しているのだ。

あの時、なぜ気づかなかったのか。歩けないというのを無理やり実家まで連れて行ったこと。そして彼の回復をひたすらに祈った日々。ごいさんは忘れた日はない。

 

写真は、まさが数字を覚えた頃に描いた絵

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