正の誕生日、あれから20年

だいぶ過ぎてしまったけど4月9日は正(まさ)の誕生日だった。正とは下の子の呼び名である。20代が終わって30歳になった。毎年同じようなことを書いているから、長く読んでいる方はまたかと思うでしょう。何も新しいことはない。でも、同じことの繰り返しになるのは分かっていてもやはり書いておかなければいけないと思う。その時の気持ちを忘れないでい続けるために。

発症したのは小学校4年生の時の暮れだった。本人は力が入らず歩けないと言っていたのに、大した病気とも思わず無理をさせて実家まで新年の挨拶に連れて行った。それが元で病名が分かった時はすでにかなり重い症状になっていた。病院で歩けなくなるかもしれないと言われた時のショック。ミニバスケのエースとしてこれからを期待されていたのにそれができないどころか歩けなくなる。子供がいない家に帰ると自分自身に怒りが込み上げてきて、毎日のように自分を責め立てた。

1度目の手術が上手く行かず、再度の手術。腰を中心にギブスが巻かれ身動きが取れない状態で、横に向くこともできない。試しに、家で真上を向いてじっとしてみたが10分と持たない。そんな苦しいことに子供は何ケ月も耐えている。そう思うだけで胸が締め付けられる思いだった。

やがてギブスが取れ車いすに乗って動き回っているのを見た時のあの感動は忘れもしない。長い間見ていなかった久しぶりの笑顔だった。夏になり外泊ができるようになると、その度に子供の好きな料理を作った。この日が来るのがどれほど待ち遠しかったか。やがて車いすから松葉杖になりクリスマスに合わせるように退院となった。手術の関係で右足と左足の長さに3cmの違いができてしまったが日常に支障がないくらいに歩くことはできる。押しつぶされたような思いから少しだけ解放された気がした。

職場から病院までの距離は約20キロ。面会時間は夕食前までの1時間あるかないか。行って何かできるわけでもない。ただ子供の顔を一瞬だけでも見たいという思いだけで通った。あの1年間の自分自身のことについてはほとんど覚えていない。子供の影響で聴いたGLAY(グレイ)やL'Arc〜en〜Ciel (ラルク アン シエル) 、B'z(ビーズ)の曲を年甲斐もなく覚えているくらいかな。

発症が10歳の時だからちょうど20年が経った。腰への負担は大きいだろうけど、今のところ大きな支障はないようだ。今なら医療の進歩もあって何が起きてもどうにかなりそうだけど、どうかこのままずっと無事であってほしい。

今年も何事もなく誕生日を迎えられて良かった。おめでとう。本当に嬉しい。

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熊本を中心に発生している地震被災された方々には心よりお見舞いを申し上げます。今はただただニュースを見ながら早く収束することを祈っております。