「東北・みやぎ復興マラソン 2017」を走る ~ 後 ~

阿武隈川にかかる亘理大橋を渡って亘理町に入るとまもなく10キロ地点だ。大震災の記憶がよみがえる。ここでも総出でランナーを出迎えてくれていて、「ありがとう」の声があちこちで聞こえる。それに応えて多くのランナーからも「ありがとう」という声が返される。正に気持ちが一つになった、そんな感じだった。ここが最初の折り返し地点で、10キロまでの5キロは26分34秒。

しばらくして海沿いの道路に出る。ただ真っ直ぐに延びた道があるだけで他には何もない。右側には防潮堤があって直接に海を見ることはできない。一瞬ですべてが飲み尽くされた正にその場所を今走っている。これが10キロ近くにも及ぶのだ。応援の方もさすがにここまでは来られないようで、ここではランナーの走る音だけが響く。太陽が背後から容赦なく照りつけている。この辺から少しずつ落ちてくるランナーが出始める。それを確実に拾いながら少しずつ抜き返していく。15キロまでの5キロが26分20秒、20キロまでの5キロが26分43秒。

23キロ地点のエイドはちょうどスタート地点の近くの場所にある。あと10キロほど行って帰ってくればゴールだ。これならなんとかいけるという気持ちになったところでまたアクシデント。給水の時に前を歩いていたランナーと接触しそうになって横に避けたところでまた腰をひねってしまった。大したこともないのだが今日はやけに気になってしまう。

25キロまでの5キロは26分47秒で凌いだが、その辺から少しずつタイムが落ち始める。不安な気持ちとそれに追い打ちをかけるような今日の暑さで、予想以上に体力を消耗しているようだ。30キロまでの5キロは28分32秒かかった。そして32キロ地点は最後の折り返しの場所。本当にたくさんの人が応援してくれている。そんな声援に小さく手を振るのがやっとの状態。この時の自分はこの復興の道を走り切りたいという気持ちだけが支えだった。何が何でも最後まで走り通したいのだと。

35キロまでの5キロが28分46秒。そして40キロまでの5キロが29分24秒。タイムはかなり落ちたがそれでも自分を抜いていく人は思ったほどにいない。残り2キロとなってこれで走り切れるという思いからか思わず顔がにやけてしまう。途中では4時間を切るのも難しいかと頭をよぎったこともあったが、フィニッシュ地点にいるバンビさんやいつも応援してくれているカメキチさんやブナさん、それとブログで励ましていただいている皆さんを思い浮かべると簡単には諦められない。自分の書く頑張ったという記事を読んでほしいのだ。それにだいたいが倒れるほど弱ってはいない。そういう思いで懸命に腕を振ってゴールに飛び込んだ。タイムは3時間52分55秒。

思った走りはできなかったが、走り切れたことに十分満足している。それに走って本当に良かったと思う。沿道でのたくさんの人たちの応援はとても温かだった。そしてボランティアの皆さまからの励ましも素晴らしかった。大会関係の方々も含めて、皆さんの復興に対する熱い思い、しっかり伝わってきました。これからも気持ちは一つ、東日本大震災のことは忘れません。大変お世話になりました。ありがとうございました。

 

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