ごいさん、ニューヨークを走る ~ 後 ~

11月5日、朝4時30分にモーニングコールが鳴る。もっともこの日はほとんど寝られず、すでに目が覚めていて準備も終えている。ツアーガイドの方から頂いたおにぎりを食べて、バスに乗り込む。天気予報は雨だが、今のところは寒くもなくまだ雨も落ちてはいない。1時間ほどでスタート地点のスタテン島に到着。まだ7時前ということで、第2ウェーブのごいさんは10時15分のスタートまで3時間余り待たなければならない。

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4つのウェーブとそれぞれにブルー、オレンジ、グリーンの3色に分かれているからスタートのロスはほとんどない。ようやく10時15分になって、ごいさんのNYCMがいよいよ始まった。一気にベラザノ・ナローズ橋を駆け上がる。この橋を越えてブルックリンの街並みに入った途端、半端ない応援の人たちが出迎えてくれた。ここからが晴れの舞台。ハイタッチを交わしながら進んでいく。

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中に日本の方も見うけられる。ひときわ大きい声で「頑張って」と叫んでくれる。青い法被に日本人と認識してくれる人も多く片言の日本語で「Gambatte」「Japanese」「Tokyo」と叫んだりしてくれる。いかにも陽気な人たちだ。応援する表現がとても大きい。白人、黒人に限らずいろんな人種の方がいる。でも応援してくれている様子はみんな同じだ。同じ気持ちで自分たちを応援してくれているのがよく分かる。

最初の10キロは50分59秒。力むなという方が無理な話で、お調子者のごいさんはオーバーペース気味だ。それに加えて、降り出した雨で法被が重くなり前がはだけたり腕が振りにくくなったりして、時々止まっては帯を結び直すといった状況で、いつものような感じで走れない。どうにか20キロまでの10キロは55分03秒で凌いだが、沿道の声援に応えることがあまりできなくなってきた。25キロ地点のクイーンズボロ橋を超えた辺りでいきなり両足が攣った。レース中に足が攣るのは久しぶりのこと。沿道の人から声援をもらいながらどうにか足を動かすのだが症状はかなり辛くなっている。

道路の両側にはたくさんの人がずらっと並び絶え間なく応援の声をかけてくれる。雨の中をずっと立ち続けて本当に素晴らしいと思う。それに比べて自分の姿が情けない。ここからブロンコスで折り返してセントラルパークに入るまでのなんとも長かったこと。30キロまでの10キロが59分54秒。40キロまでの10キロが64分28秒。時々「Nippon」「Tokyo」と声が届くのだけど、わずかに手を振るだけで顔を向けることができない。

セントラルパークに入ると一転してゴールが確実に近づいて来るのを感じる。あんなに憧れていたNYCMがもう終わってしまうのだ。このままじゃあまりにもみじめだ。最後ぐらいはできる限りの力で走って、応援してくれたすべての人に感謝の言葉を贈ってフィニッシュしようと考えた。

公園を出た所からフィニッシュまでのラスト1キロは緩い上り坂になっていて最後の一番苦しい所だ。その左側には2重3重の人波ができて応援してくれている。その人の壁伝いに、「サンキュー、ありがとう、カムトゥジャパンetc」、思いつく言葉をありったけの大きな声で叫びながらハイタッチして走って行く。みんながこっちを向いてくれて、身振り手振り、いろんな声援を返してくれる。あっという間の6分間。でも最高の喜びを味わえた時間だった。

タイムは4時間3分06秒。順位は15,114番( 50,647人中)。心残りがないわけではないが、十分に堪能したNYCM。思った通りの素晴らしい大会だった。ありがとう、応援してくれた皆さん、ボランティアの皆さん。そして、ありがとう、ニューヨーク!

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