雪の日のフィクション

f:id:goisan:20180123100807j:plain

「Good morning!! ところで、あんたは誰や?」
「わたしか?わたしはお前を作ったごいさんというもんだ。」
「じゃあ、おれが誰なのか分かるのか?」
「誰が見ても雪だるまだろ。いや、スノーマ ンと言うべきか。」
「スノーマンって何だ?スーパーマンスパイダーマンみたいなものか。」
「どちらかと言うとウサギマンさんの知り合いみたいなもんだろう。」
「まあ何でもいいや。で、どうしておれを作ったんだ?」
「長い時間勉強して疲れたんだ。それでちょっと息抜きというか暇つぶしに作ってみた。」
「いい歳して、雪だるまなんか作って面白いのか?」
「いや、それほど面白いわけでもなかったかな。」
「だろうな。それにしても息抜きや暇つぶしで適当に作られたんじゃたまったもんじゃないぞ。どうせ心なんてこもってないだろうし。」
「そんなことはないさ。一生懸命作ったさ。子供の頃の純粋な気持ちに戻ってね。少しでも可愛くしようと思って頑張ったんだ。」
「ふん、これでか。」
「気に入らないか?」
「どうせ君の才能の限界だろうから、妥協してやるよ。」

f:id:goisan:20180123100719j:plain

「それはそれはありがたいことだ。ところで何で話しかけてきた?」
「あんたが誰かと話したがっているように見えたからさ。」
「そうか、お前にも分かるのか。そうなんだよ、最近誰かと本気で話すことがほとんどなくて。他人と話すのに飢えているのかな。」
「俺で良かったらいつでも聞いてやるぞ。」
「ありがたいけどお前だっていつまでもここにはいられないじゃないか。」
「確かに。でもおいらは空に帰るだけだ。いつも空のどこかにはいる。だから空に向かって話せ。声なんて出さなくても俺には伝わる。おれは秘密は守るから何を言ってもいいぞ。雪道で滑って転んだのだってしっかり黙っておいてやるぞ。」
「なんだ、もう暴露してるじゃないか。信じられねーなあ。でもそれはいい考えだ。じゃあその話に乗せてもらうよ。」

・・・・・・・・・・ 中略 ・・・・・・・・・・

「じゃあ、これから実家に出かけてくるよ。実家の雪かきをしなきゃいけないんだ。母親が家に閉じ込められているらしい。」
「そりゃあ大変なことだ。早く行ってやれ。」
「じゃあ、行くよ。お別れだね。」
「いやお別れじゃない。空に戻るだけさ。」
「また来るか?」
「また来るよ。その時は心を込めてしっかり作れ。それともっとかっこよくな。ついでに勉強の成果も見せてもらうぞ。」
「分かったよ。そっちこそ間違って他の家に降っていくなよ。I won’t forget you!」

 

夕方、家に戻ったら、スノーマンは消えていた。やっぱり融けちゃった。でも次の機会が楽しみに思えてきた。フィクションを書いていたのに、なんだか本当の話みたいになっちゃった。

f:id:goisan:20180123100735j:plain