奈良マラソン、最終戦(後)

今シーズンは4時間が切れればいいという考え方で走っているから、気分的にはだいぶ楽に感じる。最初から飛ばしてできるだけいいタイムを出そうという考えはない。今の自分は10キロほど走ってみないとなんともその日の状態が分からないのだ。20キロまでの様子を見て4時間が切れそうと判断できれば少し頑張ってみるかといった具合。

スタートしてしばらくは大集団。少しゆっくり目のペースで沿道の人たちとハイタッチを交わしながら進んでいく。最初の折り返し地点の5キロまでは下り基調でその折り返しから10キロ過ぎまでは上り坂となる。ともあれ大勢の中に紛れるように走ると上り坂もそれほど苦にならない。最初の10キロは54分21秒で通過。若干遅れ気味。

沿道からは胸に書かれているごいさんという名前を呼んでくれる声がけっこうある。もちろんみんな知らない人なのだがすごい安心感を与えてくれる。その一声でまた自分に元気が戻る。15キロを過ぎるといよいよ長い上り坂の始まりだ。18キロポイントではあの忌野清志郎さんならぬ今ノ葉狂志郎さんがいて応援してくれている。ここから20キロまでがまずは前半の関門。ともあれ淡々と足を進めてようやく20キロ地点を超える。ここまでの10キロが52分47秒と少し挽回。これでようやくプラン通り。

ここから下り坂が始まってその後この坂に戻ってくるまではほぼ平坦な道のり。ただ下り坂は膝への負担が大きくあまりスピードを出せないのがなんとももどかしい。25キロ地点を過ぎると待ちに待ったお汁粉タイム。一杯でやめておこうと思ったけどやっぱりお替り。27キロ付近でマルさんとスライド。マルさん、けっこうしんどそうだった。後半の急坂を上りきると30キロポイントで、この10キロは54分46秒とおおむね予定通り。

いつもなら30キロを過ぎるとかなりへばって歩いてしまうところだが、今日はまだいけそうな気分。この後に繰り返される緩いアップダウンでは何度も立ち止まってしまうところなのだが、今日は違った。ごいさんと呼んでくれる声にまだ笑顔で応える余裕があった。このあたりになると多くのランナーが落ちてくる。性格悪いといわれそうだが、そんなランナーをかわすたびに元気が出てくるのだ。

奈良公園に戻ってくるとあと3キロ。ここからまた大勢の人の応援が続く。ごいさんと呼んでくれる人がさらに増える。しっかり笑顔を作らなきゃと思う。そうしてついに40キロ地点を通過。この10キロ、なんと55分05秒と頑張った。そして最後の上り坂。何人かのランナーが歩いているのを見て自分も歩きたくなる。ついつい負けてしまいそうだったけれどどうにか止まることなく競技場に入る。最後は笑顔を作ってラストスパート。タイムは3時間49分12秒。

こうしてごいさんの奈良マラソンは終わった。タイムは今の自分にとっては十分過ぎるくらい。最後まで笑顔で走れたし、楽しかった。そしてレース後にはマルさんと酒を呑みながらたくさん話もできた。最高の思い出だ。

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