「卒業式」に向けての先生の思い
神奈川県の多くの高校では、今週の火曜日に卒業式が行われたようだ。因みにごいさんの勤務する学校では、明後日の土曜日に行われる。今日はその卒業式に向けての先生たちの思いをごいさんなりに書いてみようと思う。
3年前の4月の入学式の日に、やがて卒業生となる子たちと初めて対面する。入学式を無事に終えクラスに戻って、担任の先生としての挨拶を行う。まだあどけなさが残る新入生は真剣だ。どんな先生なのか、興味津々と言ったところ。それから3年間、クラスの生徒は変われどもその学年を受け持っていくことになる。
やがて卒業式当日。生徒と同じようにあっという間にここまで来てしまったという思いがよぎるが、実際にはいろんなことがあって長い長い3年間である。文化祭や体育祭、それに修学旅行。自転車で転んで怪我をする。病気で入院した時はお見舞いにも行った。泣いたり笑ったり、褒めたり叱ったり、まあよくもこんなにあると思うくらいさまざまなことが起きる。毎年同じような行事が繰り返されるのだが、生徒の急激な成長で中身も随分と変わる。去年できなかったことが確かにできるようになっている。何も知らない1年生が、中堅の2年生になり最上級生の3年生となる。知識も増え、話し方も少しずつ大人びてくる。それがまたとても楽しい。
当日の朝の教室は、先生も生徒もなんとなくそわそわだ。そして保護者と在校生が拍手で迎えてくれる中を入場が始まる。式の最初に一人ひとりの名を呼ぶ呼名というのがある。担任の先生がもっとも緊張する場面だ。ごいさんも家で何度も練習したよ。読み間違えたり噛んだりしないようにね。一人ひとりの名をしっかり呼んでは生徒の顔を見る。目が合って一瞬その子の思い出が頭に浮かぶ。TVドラマならここで映像を挟んだりするのかな。全員の名が呼び終わってクラス代表が卒業証書を受け取る。
一通り式が終わると、クラスに戻って担任の先生の最後の挨拶となる。はなむけの言葉に添えて歌を歌う先生もいる。生徒から花束や色紙を受け取って号泣してしまった先生もいる。号泣とまではいかなくてもどの先生もそういう思いだと思う。もちろんごいさんだってね。
3年間を育ててきてクラスの子たちの顔を見ているといろんな思いが去来する。楽しかったことそしてたくさん叱ったこと。そのすべてが思い出になる。そしてそれは次を頑張ろうとする糧となる。一方で、彼らの人生においては唯一の高校生活3年間だ。そのことはごいさんたち先生も十分承知している。そのかけがえのない3年間のために、みんなで力を合わせて頑張ってきた。それでも、卒業式当日の先生たちの心の中で、できなかったこと、やり残したことへの思いが交錯しているのは間違いない。
なんだかんだあっても、学校生活は楽しいと生徒のだいぶは言う。学校という場で生徒は確かに保護されてきた。その生徒たちを大空に解き放つ。その瞬間、どの先生も彼らの幸せを願っているはずだ。そしてもう自分たちが簡単には助けられないことも知っている。
だから、「負けるな、卒業生。頑張れよ。」と、強く祈るんだ。