うちの奥さんのお話し Part2
うちの奥さんの経歴は前にも書いたが、看護師として何年か働いた後に看護学校の教員として長く働いていた。50歳近くになって現場に復帰。師長として脳外科病棟に勤務した後に遺伝子研究のお手伝いをするようになった。定年退職をした今も東京の病院に移ってそのお手伝いを続けている。
とにかく働くのが大好きだ。教員時代は帰ってくるのはいつも夜の10時を過ぎていた。現場に戻ってからも同じようなもの。今も朝の6時に出勤し夜の8時を過ぎて帰って来る。そういうことで彼女が家で料理を作ることはほとんどない。子供の夕食やお弁当作りはごいさんの仕事になった。もともと料理をするのは好きではないのだと思う。
そこでよく高島屋で惣菜を買ってくる。それに勝烈庵のトンカツ。ごいさんがそこらのスーパーで買ってきたコロッケやごいさん手作りのトンカツには見向きもしない。高い豚肉じゃなくたって揚げたてが一番美味しいのにと思うのだが。
家で会話があるかということだが、彼女はかなりのお喋りだ。喋らせればすっと喋っている。自分がもう飽きて背中を向けてもまだ喋っている。話題はその日のニュースのことが多いが他に仕事関係や孫たちのことなどだ。
話をすれば行き違うこともある。彼女はいつも自分が正しいと思って決して謝ることはない。昔はそれで大喧嘩になったりもした。ただ最近は危険を察知したら自分の部屋に一時的に避難することにしている。彼女は少し時間が経つと喧嘩したことをすっかり忘れてしまうのだ。もともと大した理由ではないしね。リビングに戻るとお菓子を食べながらテレビを見て笑っている。そこからはまた普通に会話が始まるというわけだ。
共働きだが、共通で使う分のお金を出し合ったら残りはそれぞれのものだ。そしてその使い道にはいっさい干渉しない。お互いにいくら持っているかなんていうのも把握していない。これでも結婚した頃はお小遣い制だったのだが思うようにはいかず、今の形にしてからはお金のことで言い争うこともなくなった。
彼女は友だちがけっこうたくさんいて、ランチに行ったりカラオケに行ったりと休日にも家に居ることはほとんどない。新宿や麻布六本木界隈は大好きな場所である。それに毎年のように海外にも行っている。去年はカリブ海クルーズで今年はニューヨークにナイアガラだ。いくらお金を使ってもごいさんは気にしない。もちろんごいさんがどこに走りに行くのも自由だ。そうそう最近は株式投資にはまっているみたい。あちこちの説明会によく出かけて行く。まだまだ稼ぎたいらしい。
これで夫婦なのと思われるかもしれないが、彼女が留守にして一人でいたりするとやはり違和感を覚えるからそれらしい意識はあるのだと思う。それでもお互いに束縛されない自由の方が大事だと考えている。来世も一緒になろうなんていうのを耳にすることがあるが、今の世の中のご夫婦たちはどれくらいそう思っているのだろう。