教え子との再会

みやぎ復興マラソンに出かける前日に、仙台にいる教え子からメールが届いた。「先生は復興マラソンで仙台に来ますか。時間があれば会いたいです。」と書いてあった。この子は最後に受け持ったクラスの子で今年24歳になる女の子だ。卒業してからは一度も会っていないが、年賀状のやり取りだけはしていて、確かに今年の年賀状に復興マラソンを走るようなことを書いたのを思い出した。

その子は明るくはきはきした子で、3年生になると大学受験に向かって一生懸命に勉強に取り組みだした。志望の大学に十分手が届きそうなくらいまでに成績も伸びてきた。ところがいざ出願する時になって突然に受験をしないと言い出してきたのだ。何を本当に学びたいのか、大学に行く目的が見つからないと言う。それからはいろんな説得を試みたのだけれど彼女の気持ちを変えることはできなかった。

結局クラスでは彼女だけが進路が決まらないまま卒業することになった。1年生の時からずっと自分になついてきてくれた子で、その子の進路をちゃんと決めてあげられなかったことが何よりの心残りだった。卒業してからは薬局で働いているというのは知っていた。それが昨年のクラスの同窓会の時に仙台で暮らしていて今日は来られないのだというのを聞いた。どうして仙台にいるのかと思ったのだけど、その理由がどうにもよく分らない。そんなことで、彼女からメールを受け取った時はどうしても会わなければと思ったのだ。

土曜日の夕方5時半に仙台駅の新幹線入口で待ち合わせる。5分ぐらい前に階段を上がっていくとそれらしき女の子が立っているのが見えた。いや、もう女の子とは言わないね。素敵な女性になっていた。その子の顔を見た時の安心感、どのように表現したら分かってもらえるだろう。ちょうど夕食時だからご飯を食べながら話をしようということになって、彼女のお勧めらしき牛タン専門店に入る。運よくカウンターの席が空いていて待つことなく座ることができた。このすぐ後でたくさんのお客さんがやってきたから実にタイミングが良かった。

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何を話して何を聞いたのかあまり覚えていないのだが、思いつくままにいろんな話をしたのだけは覚えている。ここに詳しくは書かないけれど、今は好きな人と暮らし、好きな人と同じ会社で働いているという。その話しぶりからは幸せな感じがよく伝わってきて、ごいさんも一安心だ。卒業の時の彼女はとても不安定に思えたから、今の落ち着いた彼女を見ていて本当に嬉しく思う。

楽しい時間はあっという間に過ぎて、気がついてみればもう3時間も話していた。お店を後にして駅までブラブラと歩いていく。神奈川県から400キロも離れたところをこうして教え子と二人で歩くなんて不思議な感覚だ。そうして改めて思ったんだ。彼らがどこで暮らしていても、彼らの心の中には昔の担任の自分がちゃんといるのだと。だから自分も彼らの担任であったことを決して忘れちゃいけないのだってね。

突然の再会でまた素敵な思い出が一つ増えた。そしてごいさんの抱えていた悩みが一つ消えた。

 

『この子たちの残した3年分の学級日誌』f:id:goisan:20171007173649j:plain