ぼくとS井君とO江君
9月15日と18日の記事で書いたのだが、40年前に声の便りを交換していたS井君、O江君、それに自分の3人で先週の土曜日に久しぶりに集まった。高校時代のサッカー部からのつき合いである。サッカー部の仲間は14人ほどいたが、特に大学に入ってからは暇さえあればこの3人でつるんでいた。当時は神奈川県の大和という場所にあるパチンコ屋に入り浸っていて、待ち合わせをしなくてもそこに行けば会えるといった具合だった。そんな3人だから勉強する時間なんてあったのかと思うのだが、結果的にはS井君は大学教授になりO江君は大手鉄鋼会社に入社、そしてごいさんは先生になった。
声の便りを作ったのも本当にいい加減だった。いつものように大和のパチンコ屋でO江君と会い、二人とも有り金残らずすってしまい、さてどうしたものかということでごいさんの家にやってきた。そこで一足先に卒業して犬山の研究所で大学院に入るべく勉強しているS井君を励まそうということになった。当時はまだカセットテープが珍しく、早速それを使ってみようということになったのだと思う。そうして往復6本のテープが作られた。
それから40年が過ぎてすっかり忘れていたのをS井君がSDカードに焼き直して送ってきてくれたところで当時のことがまざまざと蘇ってきたと言うわけだ。何回かのメールのやり取りをしているうちに3人で会おうということになった。ちょうどこの日はO江君が奥さんの大学の同窓会出席に付き添って上京するという。それでS井君もそれに合わせて上京することにしたのだ。このためだけに来てもらうのは申し訳ないことだけど何ともありがたいことだ。
それに間に合わせるようにしてO江君が1本のUSBを送ってきた。それは彼が大学生の頃、夢中になって撮っていた8ミリを焼き直したものだった。それには20歳のS井君とごいさんの動いている映像が写されている。自分の記憶にはまったく残っていないのだが、今見るととても貴重な映像だ。当時は、8ミリ、ラジコン、ロードバイクと何でも新しいものに飛びついていたO江君をからかっていたのだが、今こうして自分たちの映像を見られるのも彼のおかげだと思うと言いようのないありがたみを感じる。
4時に集まって10時過ぎまで、笑いが止むことはなかった。きっと若い頃だったら朝まで語り合ったのだろう。あの頃の若い自分たちには今を生きることと未来しかなかった。そして親もまだまだ若くて何の問題もない。でも今は家族がいて年老いた母もいる。自分一人ではない。別れを惜しみながらも3人が三様に帰っていく。明日からそれぞれまた別の道を歩く。それでもここで昔の思い出が今に繋がったという思いは大きい。きっとこれからもこの2人との関係は続いていく。
そう言えば前回のテープのタイトルは青春の旅路第一部放浪編だった。もしかしたら第二部はこれから……なのかな?
O江君の8ミリ映像から。S井君と二人で授業をしている光景。