かえるマラソン
28日、福島県の川内村で行われた「川内の郷かえるマラソン」に参加してきた。以前にテレビで取り上げられているのを見た時からいつか走ってみたいと思っていたのだ。ご存知のようにここは福島原発事故に絡んでの避難指示が出された村である。今は8割ほどの村民が戻ってきているということで、現在の村の人口は2,000人余り。
このマラソン大会はそんな中、子供たちがたくさんの人にこの村に来てもらいたいという願いから始まったものだという。この日は正に村の人口と同じだけのランナーが集まったことになる。実際に行ってみると若い人たちを中心にその復興への思い、この町を盛り上げていこうという熱い思いがひしひしと伝わってくる。中学生、小学生、幼稚園の子までがボランティアに参加してくれて本当に村ぐるみの温かさが感じられるものだった。
さてそれほどに温かく迎えてくれているのに自分はというと今一つテンションが上がらない。去年まであったあの勢いはどこに行ったのだろう。そんなことでこの日も逃げ腰、弱腰、及び腰。天気は快晴、気温も上昇中。今日は大会名にのっとってかえるの帽子を被って走るつもりなのだけどちょっときつい、それに耳までふさがって暑苦しい。それと向かい風も気になる。逃げる理由はいくらでもある状態。それでもどうにか気持ちを持ち直してスタートラインに立つ。
スタートは12時10分。前半はいくつかのアップダウンはあるものの下り基調だから多少時間を稼いでおきたいところ。それに応援してくれている村の人たちを見るとつい見栄を張ってしまう。これがレースの良い所でもあり悪い所でもあり。6キロを過ぎたあたりで折り返してきたあの川内選手とすれ違う。思わず「頑張れ!」っと叫んでしまった。11キロあたりで、背中に「川内ウルトラの母」のゼッケンを付けた女性に追いつく。あの川内選手のお母さんだ。ちょっとだけ言葉を交わせたのは嬉しいハプニング。
スタート地点まで戻ってきてまだ15キロ。ここからいったん遠ざかって行かなければならないのが何とも辛い。これから片道3キロの往復だ。緩い上り坂に向かい風が加わって思うように進まない。18キロを過ぎたところで折り返して、ようやくゴールが見えてきた。それでも最後の500メートルになってさすがにバテる。軽い熱中症的な感じもあった。
その時、地元の中学生が横に並んで「もう少しです。頑張りましょう。」と声をかけてきた。これじゃ頑張るしかない。その子についていく形で必死に腕を振った。ゴール直前で「ラストです。」と言い残して彼はコースを離れた。タイムは1時間45分1秒(60歳台順位は93人中9位)とありきたりだけど、最後に並走して励ましてくれた彼のおかげで最高の気分でフィニッシュできたのが嬉しい。
沿道の応援も会場の雰囲気もアットホームだったし、準備やら何やら何もかもすべて良し。そこにいるだけで温もりが感じられる素敵な大会だった。最後にバスで会場を離れる時もたくさんのボランティアの方たちが名残惜しそうに手を振ってくれていたのも感激だ。来年も参加したい、そんな思いで川内村を後にした。ありがとう、川内村の皆さん!
ボストンの優勝メダルを首にかけた川内選手とツーショット。おめでとう、川内選手!