奈良マラソン2018(後)

38キロ地点ではマルさんが再び応援してくれている。少しでも早く着きたいという気持ちでもがくように走る。この頃になるとエイドに寄るたびにたくさんのボランティアの子たちが「ごいさん頑張れ!」と大きな声で励ましてくれる。奈良の応援はいつも凄いと思うのだけど3回目にしてこれだけの応援は初めての経験。まあそれだけ自分がどうしようもない状態だったということだね。笑顔を作ろうとするのだけど作れない。申し訳ないなあと思いながらその場を後にする。彼らの声はものすごい励みになった。

そうしてようやくマルさんと再会する。普段着の格好は初めてだったから声を掛けてもらわなかったら分からなかったかもしれない。ともあれこれで残り4キロになった。沿道には応援をしてくれる人の数も増えてきた。ここからはサブ4との闘い。残りをキロ7分では厳しいかとかいろんなことを考える。40キロまでの10キロは60分29秒、久しぶりに1時間を超えた。

41キロを過ぎると最後の上り坂になる。前日に遠くから見た時はそれほどの坂道ではないと思ったけど、今は相当に苦しい。それでもここまで来てようやくサブ4を確信していくぶん気持ちを持ち直す。競技場に入り最後にトラックを200m走ってフィニッシュ。タイムは3時間54分40秒。痛くて辛くて苦しんだけどそれを覆うようにたくさんの「ごいさんコール」をいただいて思い出深いレースになった。どうにか4時間も切れたし、頑張った自分を褒めてあげたい気持ち。こんな感情珍しい。

着替え終わって更衣室を出るとマルさんが待っていてくれた。奈良駅近くの飲み屋に入ってまずはビールで乾杯。最初に会ってからちょうど2年が過ぎた。挨拶程度はしたがじっくり話すのは初めてだ。でも違和感はない。予想通りのマルさんだったから。話していて改めてマルさんの人となりが見えてくる。落ち着いた優しい声、柔らかな物腰。今日の応援に手作りのボードを持って何時間も立っていたことだけを考えても容易に想像できるのだが、実際に話してみてその感を強くした。同じ世代としてまだ現役でバリバリ働くさまはものすごく刺激になった。

大阪と横浜ではそうそうは会えないが、今度一緒に練習しましょうということになった。マルさんにも横浜みなとみらいや湘南海岸を走らせてあげたい。そうだ、Macさんにも声をかけよう。16時53分の電車で奈良を去る。新幹線で京都を離れる頃にはレースでの苦しさや悔しさはすっかり忘れて、心の中はほのぼのとした温かい気持ちで満たされていた。

ありがとう、奈良マラソン。いつかまたきっと走りに来る。

f:id:goisan:20181209141005j:plain