友と語る時
だいぶ前になってしまったけど、5月12日の日曜日に富士裾野高原マラソンを走ってきた。調子の良くないこともあってDNSも考えたが、ぎふ清流マラソンを走れなかったことやこれでしばらくは大会もないということで、練習のつもりの軽い気持ちで参加することにした。ところがどっこいとてもとてもそんな甘いコースではなかった。
なんとスタートから5キロまでひたすら続く上り坂。わずかに3キロ行ったところで早くも足が止まる。どうにか上りきった後は下り基調になるのだが、もう走る気力がない。最後の5キロほど続く下り坂で少しばかり意地を出してみたが、結局タイムは2時間を超え、これからどうすべきかという大きな課題を抱えることとなった。
この後、三島駅で伊豆に住むI坂さんと会う。2日前の急な申し出を快く受けてくれた。彼とは20年ほどのつき合いになる。共通点はサッカーと酒が好きなことぐらいで、趣味もやることもだいぶ違う。なのに彼とは本当によく呑んだ。そしていつも癒されてきた。この日も、彼の顔を見た瞬間にレースのモヤモヤ感はすべて消え失せた。
今の彼は、これといった欲も持たず、平凡に見える毎日を十分に楽しんで生きている。知らない人が彼を見ればただ好き勝手に生きているぐらいにしか思わないだろう。でも自分の目には彼が仙人のように見えるのだ。もちろん彼にだっていくつもの悩みもあるだろうけれど、そんなの一切感じさせない。そんな彼の話を聞くのもまた楽しい。自分にはきっとできない、そんな思いがあるからだろうか。
職場や仲間の前ではいつも楽しい強気のごいさんだった。でも実のところはそれほど強くない。だから時にはそんな自分の気持ちをさらけ出したいと思う。アドバイスは要らない。ただただ聞いてもらうだけ。今さら弱い自分を見せたくないから話し相手は必然的に限られる。そしてその一人が今回のI坂さん。
前向きに生きているというのか、生きている以上はいつも何かを考えてやろうとしている。そんな彼の進行形の話を聞くのがとても楽しい、それに刺激的だ。そういう人の話なら何時間でも聞いていていられる。聞いているうちに自分もまた頑張れるような気持ちになってくる。
自分には自分にしかできない人生を歩みたい。その考え方は変わらない。でもまだまだ迷ってばかりいる。いやもしかしたら迷ったままでこの人生を終えるのかとも思う。読者の皆さんからはけっこう好きなようにやってるじゃないと思われるかもしれないけど、でも自分の目標地点は遠くにあって、今はただがむしゃらにもがいている感じしかしない。
この日もああだこうだと話しつつ2人で焼酎ボトル1本を空け、近いうちの再会を約束して別れた。次に彼に会う時は少しでも進化している自分を見せたいと思う。友がいるから自分は頑張れる。そんな友が、この歳になってもまだ増えつつある。不思議だと思う。