ごいさん、富士山に登る(前)
8月3日の土曜日の夜から翌日の朝方にかけて、はてブロランナー・ネムネムさん主催の富士登山に参加した。他に参加者はMacさん、naoさん、てつさん、キラさん、よねランさんと、全員がはてブロランナーの強者たち。この一か月まともに走っていない自分がそんな仲間に加わるのはとてもおこがましい。途中から富士登山競争にでもなったらどうしようかなどと不安だらけ。
それでもこの機会を逸したら二度と富士山に登ることはないだろうと意を決しての参加と相成った。山登りそのものが嫌いでましてや富士山に登ってみたいなどと一度も考えたことはなかったのだが、先日の湘南での練習会の時にネムネムさんとたくさん話をしたことで気持ちが俄然前向きになった。
…けど、やっぱり不安はいっぱい。大学の頃にやはり友に誘われて近くの山を何度か歩いたことはあるけれど、その後何十年も山からは遠ざかっている。どんな格好でどんな道具を用意すればいいのか、富士登山のことを調べれば調べるほどに不安が募ってくる。ただ一度決めたことは簡単には諦めないという感情だけが自分を引っ張っていく。
まだ先、まだ先、用意は1週間前になってからで十分。そんなふうに思っていたらあっという間に当日の土曜日がやってきた。昼頃からリュックに荷物を詰め込み始めるが、なかなか上手く入らない。そして万端、背負ってみたらその重いこと。これを背負って頂上まで登るなんて考えられない。再び弱気の心が目を覚ますがもう後戻りはできない。息子の「頑張ってきなよ」という声にわずかに励まされる。
今回のスタート地点は富士スバルライン五合目。登頂開始は予定通りの午後10時。Macさんはだいぶ高山病のことを気にしていたけれど自分も同じ思いだった。下の方には山中湖辺りの灯りが見える。夜景というほどに華やかではないが柔らかい温かいものを感じる。この後の厳しい行軍をまったく予想させない平和な一時だった。
7合目8合目と次第に険しくなり階段というよりも岩肌をよじ登るという感覚だ。ところどころにツアーらしき団体が列をなし渋滞を作っている。このままではご来光に間に合わないということで多少の険しさを乗り越えて彼らの横をすり抜けていく。この辺での無理と購入したばかりのシューズのせいか、このあと左足に強い痙攣を覚えて動けなくなってしまった。
かなりの痛みもあって、もはやご来光を拝むのは無理とあきらめかけていたところに、ネムネムさんが現れた。ごいさんを心配して戻ってきたのだという。重い荷物をネムネムさんに預けて次第に足も回復してきた。代わりに2つのリュックを持つことになったネムネムさんだが、それでも軽々と岩肌を駆け上っていく様はさすがに100マイルランナー。
こうして彼にサポートしてもらうこと1時間ほど、ようやく頂上が見えてきた。「あの鳥居をくぐればもうすぐフィニッシュ」という彼の声に導かれてようやくゴールイン。みんなにはずいぶんと遅れてしまったけれど、登頂を果たした気持ちはみんなと同じように嬉しかった。