教え子のライブへ

昨年の11月に昔の教え子からメールが届いた。1月28日に横浜でワンマンライブをやるので見に来てくれませんかという内容だった。ところがこの日は館山のマラソン大会の前日でいつものようにラン仲間と出かけることになっていた。難しいけど行きがけに寄れたら顔を出すよとメールを返した。そうしたら残念だけどしょうがないということと、来られるようになったら連絡をくださいと書かれたメールが来てそれっきりになっていた。

ごいさんの方はというと、それからもずっとそのことが引っかかっていた。あれこれと悩んでようやくその日の数日前になって、その子のライブを見に行くことに決めたのだ。S田さんたちとは後から追いかけて前日の受付会場で会うことにした。

その子は高校2年生の時に担任をした子で、男の子以上に元気のある女の子だった。男勝りと書くと語弊があるかもしれないが、いつも自分で自分を持て余しているような子だった。そして2年生の終わりに学校を辞めることになる。どうしていいか分からなかった自分に学校を辞めるということでけりをつけたかったのかもしれない。彼女の最後の言葉は「先生、ありがとう。」だった。

彼女に限らずその時の学校には、社会では相手にしてもらえないような子がたくさん通って来ていた。ガングロの女の子や暴走族に入っている男の子、コミュニケーションの取れない子。そういう子に社会は厳しかった。でも学校に来ればなんだかんだと言いながらも先生は相手にしてくれる。先生に悪態をついては先生にかまってもらう。そうやって自分の存在を認めて欲しかったのだと思う。そうして時に行き過ぎて学校を去ることになるのだ。

彼女は17歳で学校を辞めた。その後音楽の学校に通って、今の道を歩き始めたという。もう15年が経つ。メールには丁寧な言葉遣いで頑張っている様子なども書かれてあった。そこに彼女の成長の跡が感じられて、やはりこの目で見てみたいという思いが勝ったわけだ。それでメールを送ったら、嬉しそうなメールがすぐに返ってきた。思わずこっちも嬉しくなる。

駅近の花屋さんで小さな花束を作ってもらう。可愛らしくて今の彼女にはぴったりだろうなんて勝手に想像する。「雨に歌えば」のオープニングで始まりダンスも披露。観客も一緒になってのなかなか楽しいステージで、1時間があっという間に過ぎる。ここで館山行きのバスの時間が近づいてきた。続きは次の機会にとっておこう。彼女の楽しそうな姿を見られただけでも今日の収穫だ。そしてその日の夜、彼女からお礼と「マラソン大会、頑張ってください」と書かれたメールが送られてきた。

途中で辞めたけど彼女にも高校時代は確かにあった。そしてその時の担任はごいさんで、それが今でも彼女の心の中では先生として存在している。そんなことを知ったら、なんだか嬉しくてならなかった。先生って本当に素晴らしい仕事だと改めて思う。

昨日、YouTubeにライブの模様がアップされたというメールが送られてきた。終盤の様子なのだが、それを観ながら彼女のこれからの活躍を祈っていた。

 

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