ごいさん、富士山に登る(後)

頂上に着いたのはちょうど4時くらい。ネムネムさんに案内されてご来光がよく見えるという場所を確保。どっかと腰を降ろして遠くに目をやる。いつもは下から見上げているだけでてっぺんのことなどまるで考えたこともないのに、今は自分が実際にここにいて地上を見下ろしている。まるで自分自身が富士山そのものにでもなったかのような不思議な感情だ。この何とも言えない満足した気持ちはずっと覚えておきたい、そう思った。

空が少しずつ赤みを帯びてくる。大勢の人の目が一方向に集中して今や遅しとその時を待っている。そうして待つこと40分余り。いよいよ太陽がその姿を現した。遠く水平線の上に出るものばかりと思っていたらその下にある雲の中からポッカリ湧き上がってきた。こういう日の出は初めてだ。密かに感動。しっかりと目に焼き付け、そしてカメラに収めた。

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それから火口を一周するというお鉢巡りをして、最高峰の剣ケ峰にも行ってきた。そして帰り道となるが、その頃には足もだいぶ回復して、どうにかみんなに迷惑をかけずに下山できた。ネムネムさんを始めみんなが心配そうに見守ってくれたその気持ち、本当にありがたかった。スタート地点の富士スバルライン五合目まで戻ってきて振り返って見上げた富士山はまたひときわ大きく見えた。あのてっぺんに行ってきたんだなあ。

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今回の登山では、苦しんでいた登りではほとんど話すことができなかったけど、下りではたくさんのことを喋れた。よねランさん、きらさんとは初めて顔を合わせたけれど、二人とも柔らかい笑顔が印象的だった。この歳になってこういう出会いがあってこういう経験ができるなんて夢のよう。やはり人との出会いは大切だということを確信した。これからも生きている限りは人との出会いを求め続けたい。それは未知の自分の発見にも繋がるのではないかと思うから。

自分はじきに走れなくなるだろうけれど、こうして出会ったラン仲間が走ることを続けてくれれば、その応援に出かけることもできる。応援だけならずっとできる。それも自分のこれからの人生の大きな楽しみの一つとなった。こんな年寄りがこうして若い人たちと出会えたことを今本当に幸せだと思っている。

家のベランダからは富士山がよく見える。あのてっぺんにいたのかと思うと不思議だ。今までとは少し変わった感じ、親しみが湧いたという感じかしら。自分の娘のような、その美しい姿をますます誇れるような気分だ。さて、できれば伊豆の住人を連れてもう一度登ってみたいなんて思っている。それは今回参加した理由の一つでもあるからだ。もっともその前に彼を鍛えなければいけない。富士山、そんなに甘くはないよ。I坂さん、覚悟しておきな…ね。