離任式・退任式
神奈川県の多くの学校では、昨年度から3月の終業式に離任式や退任式を行うようになった。ごいさんの学校でも今日が終業式でそして離任式があった。生徒との関わりや時間の関係もあり、ごいさんは壇上には上がったが紹介のみで挨拶は辞退させていただいた。
ごいさんは今までに6回の離任式そして最後に退任式を経験した。先生は人前で話すのは慣れているだろうと言うけど決してそんなことはない……と思う。いや、ごいさんは苦手だ。生徒指導や進路指導の代表、また学年の代表として生徒や保護者の前で何度も話をしてきたのだが、その度に前日からその直前までずっと緊張している。表面的には落ち着いているように見られることといかにも慣れているだろうと思われるから、ますますミスは許されない。原稿を棒読みするわけにはいかないから、基本的に原稿は作らない。大きな話の流れ、ポイントなどを頭にインプットする。声の抑揚、目の配り方も大事な要素だ。場数を踏めばそれなりに上達はするが、結局最後まで緊張感からは解放されなかった。
そういう時は学校を代表して話すわけだから、もちろん中身も大事だ。生徒や保護者以外にも周りで多くの同僚が聴いている。おそらくごいさんより知識のレベルが高い。その人たちを無意識のうちに意識してしまったりするのもいけない。若い時は終わった後にいろいろと感想を言ってもらえたのだが、年を取るとそういうことも無くなり良かったのか悪かったのか分からない。
離任式での挨拶は平均的に一人当たり数分間である。横で聴いていると本当に皆さん上手だ。四文字熟語や格言、名言などをさまざまに引用してくる。話す前は何だかんだ言っていてもしっかりとした話をする。さすがに先生だけのことはあると感心する。もちろんスパッと終わる先生もいる。それはそれでいかにもその先生らしいのがいい。
生徒の目はふだんの集会ではお目にかかれないくらいの真剣な目をしている。10人前後の先生が話をするのだから、きっと話したことなど忘れてしまうのだろうと思う。それでもその目に魅かれて話す方にもついつい力が入る。ここで過ごした数年間、何だかんだあっても思い出深いものがあるものなのだ。
今日挨拶した7人の先生たちもそれぞれの思いを熱く語っていた。それを受けてここの生徒たちがどれくらい頑張っていけるのか、大いに期待したいところだ。