父の夢

先日、父の月命日だったか、久しぶりに父の夢を見た。いや、見たと言えるのかな。覚えているのは父と一緒に車に乗っている一枚の写真のような光景だけなのだ。父と二人でカメラの方に顔を向けて微笑んでいる。いつもなら見た夢はすぐに忘れて記憶に残らないのだけど、この時は忘れちゃいけないと思って目が覚めた。夢にストーリーがあったかどうかはまるっきり思い出せないけど、この一枚の写真のような光景だけが唯一記憶に残った。

父は亡くなった時のままの父だったが、どうしてだか自分もその頃の若い時の自分だった。父が車を手に入れたのは亡くなる1年前ぐらいだったから、実際に父の車に乗ったのは一度しかない。妹が結婚するというので家族で一泊の思い出旅行をした時だ。箱根あたりを回った記憶がある。でもきっとその時のごいさんに笑顔はなかったしこんな写真も撮らなかった。

父が亡くなって何年かはよく夢に見た。たいがい父がただいまと言って家に帰ってくるシーンだ。父は生きている、それが現実だと思って喜んだ。そしてお帰りと言った瞬間に目が覚めて現実の世界に戻される。何度も何度も同じ夢を繰り返し見た。それでもその後の40年余り父が夢に現れることはなかった。現れたのかもしれないが記憶に残ることはなかった。今回のすごく鮮明な一枚の写真の様な光景。二人とも満面の笑みを浮かべている。でももう昔のように父が生きているとは思わなかった。

それにしても今頃になって父はどうして現れたんだろう。そんなこと考えたってなんなんだいと思ったけど、ちょっと考えてみた。そしてまず思ったのは、ごいさんを迎えに来たんじゃないかということ。だから父は当時の愛車でやって来た。そろそろごいさんもいいお年頃だしね。それとも、このところの情けないごいさんを見るに見かねて発破をかけにやってきたのかしら。何か伝えたいことがあったかな。

まだ父さんが迎えに来てくれたからと言ってきゃあきゃあ喜んでもいられないんだなあ。母さんのこともあるし、中途半端にやり残していることもある。そういった決心もまだまだついていない。あと10年くらい何とか待ってもらえないかな。今度父さんの夢を見るときは乗せてもらえるようしっかり生きておくからさ。とまあそんなことを実家に行って父にお願いしてきた。

 

f:id:goisan:20220130155155j:plainいつものように本文とは全く関係ないけど、相鉄線の新駅です。