思い出への旅 ~ 佐渡 ~

佐渡には若い時に2度行っている。最初は20歳の時で中学校の友人と一緒だった。初めての佐渡に大いに感激したのを覚えている。特にドンデン山の広い高原の様は今でもしっかり記憶に残っている。2度目は27歳の夏だった。こちらは職場の同僚M山さんとの旅だった。最初に訪ねた時から7年しか経っていないのにずいぶんと変わってしまったという印象を受けた。がらんとした感じで、夏休みというのに若い人をほとんど見かけなかった。そして今回、あれから長い時間が経ってどうなっているのだろうという興味があった。

金曜日の朝に東京の大崎駅から高速バスに乗って新潟に向かう。片道3,000円ほどだから新幹線より断然安い。6時間ほどかかるが今の自分に時間はたっぷりとある。バスは新しくて乗り心地も悪くない。約400キロ先の新潟には夕方の4時少し前に到着した。今日のお目当ては「朱鷺メッセ」という所だ。ここの31階にある展望台からは、市内はもちろんのこと遠く佐渡までが一望できる。

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新潟に一泊し、翌日の朝にフェリーでいよいよ佐渡を目指す。約2時間半余りの船旅だ。船室の窓から見える佐渡が少しずつ大きくなってくる。大佐渡山脈の山の頂きにはまだたくさんの雪が残っていてその寒さが伝わってくるようだ。

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ちょうどお昼に到着したが、まずは荷物を置きに宿泊先に向かう。ホテルはちょっとした高台にあってそこに繋がる一本道が何ともいい感じだった。お昼はフェリー乗り場近くで見つけた「どさん娘」でラーメンを食べることにした。「どさん娘」という店を知ったのは大学受験の時だった。それまでは醤油ラーメンしか食べたことがなかったから味噌ラーメンがいかにも邪道のように思えた。そしてその時に食べたのが塩バターラーメン。これが何とも美味しかった。今回はその頃を思い出してその塩バターラーメンを注文した。

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食べていると、ご主人が話しかけてきた。マラソン大会の話に始まって佐渡のことをいろいろと話してくれた。ご主人は消防官として働き退職後に父親の後を継いでこの店をやっているという。息子さんは新潟市内に住んでいるとのことだが、若い人の多くは新潟の方に出ていってしまうようだ。確かに若い子が遊べる場所はなさそうで、きっと働く場所も少ないのだろう。みんな佐渡から離れていけば必然的に仲間もいなくなる。若い子がここに定住するのは難しいのだろうと思った。お医者さんも専門医がいなくていざという時はドクターヘリで新潟まで運ばれるという。新潟市佐渡では寿命が10歳ぐらい違うようなことも言っていた。最後に冗談めかして宝くじが当たったら新潟にマンションを買って住みたいと言う。もう70歳になるようだけど案外本気のようだった。

大会当日は一泊し翌日のフェリーで新潟に戻る。帰りのバスまでの待ち時間にもう一か所だけ行ってみることにした。そして、いました。ドカベンです。それに里中、岩鬼に殿間。水原勇気岩田鉄五郎も。そして「背番号90」はもちろん「あぶさん」。そう、ここは「水島新司まんがストリート」でした。さて、これでもう満足かな。では東京に向けて出発進行。

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