横浜マラソンの思い出(前)

11月10日、横浜マラソンの当日。会場の横浜パシフィコは家から5キロほどの近さにあるのだが、スタート時間が8時30分と早いので家を6時30分には出なければならない。横浜まで電車で10分、そこからのんびり歩いて20分。早速に荷物を預けてスタート地点に並ぶ。今回の自分のブロックはC。ブロックはAからPまで(IとOを除く)あるからちょっとエリート気分?

今シーズンはここまで2度のフルマラソンと1週間前にもハーフを走って、この大会に向けての一応の調整はしてきたつもり。実は、妹夫婦と子供が応援に来ることになったからなのだ(ちなみに奥さんは仕事)。突然にごいさんにとってはこの横浜マラソンが格別に重要なものとなった。2~3年前のベストの時の自分とは違って今はふがいない感じだから、このレースもどうなることかとずっと不安に思う日が続いていた。

スタート時間が近づいてくると今までのレース前とは少し違った感情が湧いてきた。緊張感が消えてスーッと涙がこぼれ落ちたのだ。なんだろう、この感情は。自分でも理解しがたい不思議な感情だった。妹の前では常に元気で頼もしい兄でいたいと願ってきた。今日はさっそうと走る自分の姿を見てもらえる、そんな嬉しさからだろうか。不安な気持ちよりも嬉しい気持ちが優ったのだろう。

8時半ちょうどに大砲の音が響き渡る中、横浜マラソンが始まった。みなとみらい大橋をスタートして横浜中央卸市場を回ってパシフィコ横浜を抜け横浜スタジアムまで来ると5キロ地点になる。だいたいが練習で走っているコースだけれど、こうしてレースで走ると感じがだいぶ違う。先週のハーフの疲れが残っているのだろうか、少し足が重く感じられる。それでもとりあえずは順調な滑り出し。

山下公園を抜けて本牧市民公園に向かう途中が10キロ地点。ここを53分24秒で通過する。妹たちはその先の14キロ付近の根岸駅近くの交差点で待っているとのこと。彼らはどんな気持ちで待っているのか、どんな表情で迎えてくれるのか、そんなことを考えると自然とワクワクしてくる。応援の人の数もどんどん増え、そうしていよいよ感動の瞬間がやってきた。

先の交差点でこちらを見ている妹と旦那さんを発見。少しスピードを上げて近づいていく。そしてハイタッチ、それから記念撮影。妹が時間がもったいないから早く行けと促す。しかしこんな機会はめったにない。いやこれが最後かもしれない。だから、この瞬間を、そしてこの時の思いをしっかりと胸に焼き付けておこうと思ったのだ。後で聞いた話だけどごいさんが走り去った後で妹は泣いていたという。いつ来るか、いつ来るか、本当に来るかと心配しながら待っていてついに現れた兄の姿に感動したのだという。いかにも妹らしい…。

 

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