なでしこ、ついに決勝に進出
イングランドのパワーはやっぱり本物だった。開始早々から押し込まれて危ない時間帯が続く。今日のなでしこたちの動きは今一つ。長い戦いで疲れも溜まっているのだろう。それでも懸命に体を動かしているのが分かる。ミスパスが目立ち、なかなか自分たちのペースに持ち込めない。その中でも海堀選手を始めディフェンス陣は集中を切らさず頑張っていた。逆に言えば、それだけ攻め込まれていたということ。
しかし先制点を挙げたのは日本チーム。前半の33分、有吉選手がファウルで得たPKを宮間選手がしっかりと決める。だが喜びも束の間だった。その7分後に今度は相手にPKを与えてしまう。混戦で大儀見選手のファウルを取られたのだ。これで同点、振り出しに戻りそのまま前半を終了。
後半はどちらかというとイングランドのペース。トニ・ダガン選手のシュートがクロスバーに当たるなどの決定的な場面もあった。ジル・スコット選手の惜しいヘディングが続く。24分、この流れを変えようと、前の試合のヒロイン岩渕選手が投入される。確かに期待通りの動きを見せてくれて、なでしこたちがまたペースを取り戻した感じだ。
同点のまま3分間のアディショナルタイムに入る。1分を過ぎて、右に開いた川澄選手にボールが出る。振り向いてワンドリブル、ツードリブル。中を走る大儀見選手を狙って速いクロスボールを送る。彼女の得意とするボールだ。大儀見選手の手前を走っていたイングランドの選手がそのボールを懸命にカットしようと足を伸ばす。つま先だろうか。ボールが当たってそのまま自陣のゴールに飛び込んだ。彼女は試合後もずっと泣き続けていた。オウンゴールという形で決着はついたけど、川澄選手のピンポイントのクロスボールが大儀見選手に渡っていれば確実にゴールになっていたはずだ。彼女の責任では決してない。
今日の試合で印象に残ったこと2つ。まずは宮間選手がPKを決めた後にベンチに駆け寄って控えの選手たちとハイタッチをするシーン。いつも強気の発言でちょっと怖いというイメージもあったのだけど、このシーンを見たら泣けてきてしまった。本当にいい子なんだと思った。そしてもう1つは大儀見選手。マークが厳しくていいパスも出てこない。それでもいつでも点を取ってやるという姿勢が凄い。文句も言わない、顔の表情も変えない、ただただプレーに集中している。あのPKだって彼女のファウルとは思えない。でもあそこで声を荒らげても判定は覆らない。ぐっと心を静めて次のプレーに集中する。一瞬の隙も逃さないそんな気合いを感じる。決勝でヒロインになるとしたら間違いなくこの大儀見選手じゃないだろうかと思う。
決勝の相手はアメリカ。前回のワールドカップで勝ち、ロンドンオリンピックでは負けた。さて3度目の対戦は……。今のなでしこなら準優勝でよしとはしないだろう。ここまでき来たから十分なんて言う言葉は、十分失礼な言葉なのだと思う。だから目指すは「優勝」だ。
【おまけ】一昨日、久しぶりに伊勢佐木町を歩いてきたので、ちょっとだけご案内。まずは伊勢佐木町の入口。
フォークデュオ「ゆず」が路上ライブをしていた横浜松坂屋(今はありません)前。
青江美奈さんの歌碑。ボタンを押すと「伊勢佐木町ブルース」が流れます。
ミニシアター「ジャック&ベティ」。今日の目的はここでした。「スーパーローカルヒーロー」という映画を観てきたのです。信恵さんという心優しきおじさんのお話しです。見終わってしばらくしてから「じわ~ん」としてきました。