修学旅行の思い出から ~ 長崎 ~

今日は長崎の「原爆の日」。田上長崎市長による平和宣言、安倍首相の挨拶、それぞれに思うところもあるが、今日は前回の広島に続いての長崎での平和学習についてまとめておこうと思う。

34歳で4校目の学校に赴任して、そこで3回ほど長崎に行った。長崎に行くのも初めてだったので、最初の時は前回の広島をなぞるようなものだった。加えたのは語り部による被爆体験の講演会。前日の夕食後に1時間ほど原爆投下の日のことを赤裸々に語ってもらう。生徒は修学旅行3日目の夜だったが驚くほど真剣に聞いてくれた。ごいさん自身にも貴重な体験となった。そして翌日の午前中を使って原爆資料館平和公園の見学を行った。時間的に余裕があったことや語り部の話を聞いたことで、その成果は十分なものになったと思う。

一度行ってみると次にやりたいことが見えてくる。4年後、2度目の訪問をする。この修学旅行では朝から夜まで丸一日を平和活動の日と位置付けた。朝、宿を出てまずは長崎港に向かう。そこでチャーター船に乗りこみ、端島(はしま:軍艦島の正式名称)を巡る。今では世界遺産登録で有名になったが、この頃はまだまだ知らない人が多かったと思う。戦争中は朝鮮人や中国人が強制労働を強いられた場所である。原爆を投下されたという被害者的立場だけではなく加害者的な立場を同時に考えることでより深く戦争の悲惨さ、平和の大切さが分かるのではないかと思ったのだ。その後、全員で原爆資料館を見学。続いて平和公園でクラスごとに決めた慰霊碑の前で千羽鶴を手向ける。これは事前学習の一環として折ったものだ。それから班ごとに浦上地区のいくつかの場所を回って宿に戻る。そうして夕食後には語り部の方の体験談を聞く。生徒の顔は疲れを見せることもなく最後まで真剣そのものだった。

そしてまた4年後、3度目の訪問。この時は飛行機の利用が認められたことで、前回のコースに鹿児島の知覧にある特攻平和会館を加えることにした。ここには特攻に旅立った人たちの遺影や手紙などの遺品が展示されている。若くしてなぜ死ななければならなかったのか。そんな思いを感じてほしかったのだ。

もちろん修学旅行のすべてが平和学習ではない。出島やグラバー園を訪ね、稲佐山から夜景を見る。有田焼の陶芸体験もある。ハウステンボスで遊ぶのもよい。柳川ではせいろ蒸しを食べながらのんびりと舟下りを楽しむ。修学旅行は生徒たちにとって大切な思い出だ。何より楽しむことが一番でいいと思う。その思い出とともに平和学習のことが少しでも思い出されればそれでいいのだと考える。

これを読んでいる皆さんにも長崎への旅を勧める。そして浦上地区を「碑めぐり」をしながら歩いてみてください。中でも永井隆博士の住んでいた如己堂はぜひとも訪ねてほしい。彼の著書には、「長崎の鐘」や「この子を残して」などがある。また「いとし子」では、憲法改正についての彼の思いが語られている。詳細は検索してみてくださいね。

長崎、今だからこそ、もう一度行ってみたい街……素敵な街です。

 

事前学習等で利用した長崎市平和推進協会が作成した冊子。1992年発行。f:id:goisan:20150809205129j:plain