いずぃなりの里へ(前)
先週の土曜日に伊豆にいるI坂さんという友だちに会いに行ってきた。何故かと言えば、それは彼が親友だから……かな。ごいさんは小さい頃からいつも輪の中心にいないと気が済まないという性格だった。それは先生として働くようになっても変わらなかった。いやますますひどくなったと言った方が正しいのかもしれない。そんな自分だから人前で弱気を見せるなんてことはさらさらできることではなかった。それに周りの人たちもそんなことを期待してはいないだろうし。
でも本当は、周りで見られるほどに行動的でも度胸があるわけでもないのだ。何をやる時でもいつもびくびく冷や冷やしている。決して行き当たりばったりで発言したり行動したりすることはない。かなりの時間を費やして考えた上でのことだ。ごいさんならできるだろうという信頼を裏切るわけには行かない。だから何事も無く終えた時の安堵感は半端じゃない。そうして、表向きは屁の河童のような顔を装っている。だから仲間のみんなはごいさんが小心者だなんてほとんど思わない。ごいさんはいつも強いごいさんでいなければならない。ずっとそんなふうに生きてきた。
でも、自分だけは本当の自分を知っている。ただ強がって見せているだけの本当は弱い人間だということをね。それでも、そうやって気持ちが落ち込んだ時でも周りの仲間には知られたくないと思う。そんな時の一番の解決策が心を許せる友に会うことなのだ。なんでもいい、何も考えずに思いつくままに話をして、それをただ友に聞いてもらうだけ。伊豆のI坂さんはそういう友の一人なのだ。合いの手を適当に入れながら何時間でもただただ話を聞いてくれる。
しばらくぶりの長距離ドライブだ。伊豆長岡まではごいさんの家から100キロほどの距離。いつもは湘南海岸沿いに走り箱根を越えて三島に出るのだが、今回は山側の246号線で沼津経由で行くことにした。待ち合わせ場所は、長岡の共同浴場「あやめ湯」。6時ちょうどに着くとI坂さんはすでに中にいて髪を洗っている所だった。彼のブログによく登場するあやめ湯仲間のうちのマイ桶氏とスキンヘッド氏が一緒だった。
家に着くと早速にストーブに火を入れる。薪がパチパチと音を立てて勢いよく燃える。あっという間に部屋が暖かくなってくる。I坂さんお手製の松前漬けがどんぶり一杯に盛られて差し出される。それからこの前考え出したというご自慢の山芋の醤油バター焼き。醤油とバターがうまくマッチしてそれに山芋のシャキシャキ感が何ともたまらない。それにアマゴの山椒煮。どれもこれもおつまみのたぐいだから、二本持っていった焼酎も一気になくなる勢いだ。
一人の時は9時には就寝というのだが今日はごいさんへのお付き合い。眠そうな目をこすりながらも起きている。さすがに11時を回ってこれ以上は可哀そうだからとお開きにして寝ることにした。布団を敷いて横になって電気を消したとたんに寝息が聞こえてきた。よほど眠いのを耐えていたのだろうと思うと、またまた友のありがたさを思うのだった。
午前中に横浜大桟橋から撮影。今日は富士山がはっきり。